今、Youtubeで袴田巌さんのドキュメンタリーを見ていた。思うに、袴田事件は再審無罪判決が出るまで長い時間がかかったのだが、一方で相当早い時期から袴田さんは無実だと言われていた。それこそ70年代の学生運動が盛んな頃には「袴田事件でっち上げ糾弾!警察の権力犯罪許すまじ!」とのシュプレヒコールが叫ばれていた。それは何故かというと、やはり「ボクサー崩れ」との警察・検察の侮りとは裏腹に袴田さんが非常に賢かったからだろう。袴田さんが獄中から無罪を訴えた手記の数々、あれは普通の人が書ける代物ではない。その説得力に多くの人が心を動かされたわけだ。更に言えば、姉のひで子さんというのもただ者ではなかった。90歳を過ぎてあれほどしゃんとして、熱く弟の真実を訴えることができる人はそういない。してみると、袴田巌さんほどの知性に恵まれず、ひで子さんのような身内にも恵まれなかった冤罪被害者も世の中には相当いるのではないかと思う。例えばもし私がある日突然警察に連行されて、「お前は殺人犯だ。白状しろこのヤロー!」と言われたら?私のSNSの投稿を見てもらえばわかるように、てにをはも怪しい冗長な文章で、ウダウダと要領を得ない感じで無実を訴えているんだかいないんだかわからないようなものを発表して失笑を買うのが関の山だろうな。