『チョコレートスフィンクス考』という漫画を読んだ。一昨年(だったかな?)に読んだ『踊るミシン』という漫画が面白かったので同じ作者の短編集を買って読んだのだった。『踊るミシン』はポップな感じとガロっぽい泥くささが両立している所が面白かったのだが、『チョコレート…』はあくまでガロガロしい作品が多く、226事件の裏話を描いた?一編などポップさのかけらもない。全体的に暗い感じだったのでどちらかといえば『踊るミシン』の方が好きだった。とはいえ『チョコレート…』も色々興味深くて面白かったけどね。『踊るミシン』は、登場人物の深い事情や内面には立ち入らない。そのためストーリーに意味不明な所が生じてもあくまで立ち入らない。表層的な事は良い事だ…という、いかにも80年代的な作品だと思ったが、『チョコレート…』はその点かなり立ち入っている。同じ作者の作品でも読後感が重いのはそのせいだろう。どちらが好みかは読む人によって分かれそうだが、色々と試行錯誤した結果『踊るミシン』に到達したのかなと、個人的には興味深かった。