黄金虫は金持ちだ
金蔵建てた蔵建てた
という童謡がいまいましく聞こえるくらい、コガネムシというやつは凶悪な農業害虫だ。成虫は葉っぱを食い尽くすし、幼虫は根っこを食い尽くす。コガネムシにやられたが最後、植物はあっという間に枯れてしまう。昨夏、我が子同然に大事に育てているポポーの木にコガネムシがついているのを発見し、えらいこっちゃと慌ててコガネムシトラップを急遽こしらえた。1リットルのペットボトルに虫が出入りできるサイズの穴を開けて、虫をおびきよせる効果があるという青色のアクリル絵の具で全体を塗りたくり、そこへ砂糖・酢・焼酎を混ぜ合わせた特製昆虫誘引シロップ を虫が溺死するくらいたっぷり投入してポポーの木の支柱に吊るしておいた。その後、トラップの効果があってかコガネムシを見ることは無くなったので、すっかりトラップの事も忘れて放置していた。
で、昨日、ふと思い出してトラップの中を覗いてみた。数匹のコガネムシと1匹のアブラゼミが生きているような姿を保って転がっていた。虫嫌いの人が見たら悲鳴を上げるところだろうが、何だか感動してしまった。トラップにかかっていなければ、今頃は土に帰って原型をとどめていなかっただろうが、何だか生き仏のように神々しく見えた。そこで一句。
蝉コガネ即身仏や寒ざらし
#俳句