私は見ていなかったのだが、M-1グランプリで審査員の立川志らくが「人を傷つけない笑いが主流の時代を変えたい」とほざいたという。志らくが言う「人」というのが間違っても強者や権力者のことではないのは明らかだから、つまりは弱いものいじめで笑いを取るのを主流にしたいという事なのだろう。相変わらずゲスい噺家だ。
しかし思えば、ビートたけし以来、弱いものいじめをネタにした笑いというのは十分世の中の主流になっているのではないか。今の若い芸人の笑いを垣間見るに、ヤンキーの世界で後輩が笑われ役をやらされて先輩がそれをいじって内輪受けしているようにしか見えない。人を傷つけない笑いはむしろ絶滅危惧種になっている感がある。
「人を傷つけない笑いが主流の時代を変えたい」という発言からは、とっくに主流になっている奴が反主流を気取ってみせるようないやらしさを感じる。加害者が加害行為を責められると被害者ぶるような今時の風潮がはっきり現れている発言のように思う。