宮台真司という人の言説には色々思うところがあるが、それでも暴力は許されない。

ところで、山上徹也の暴力を礼賛する風潮が今回の事態を招いたのだと左派を非難する意見を見た。犯人がまだ逮捕されておらず動機も不明な段階では言いがかりじみているとは思うが、確かに左派の一部に山上を礼賛する傾向があったのは事実だ。

難しいのは、確かに山上の安倍殺害が社会的にプラスになっている面が多いことだ。今騒がれている五輪談合事件も安倍が生きていたら明るみになっていなかっただろう。

もっとも、考えてみれば現状は極めて危ういバランスの上に成り立っている。安倍殺害事件の直後に、犯人の動機は統一教会に対する怨恨だと奈良県警からのリークがあった。もしそれを政府が先回りして止めていたら、全ては闇に葬られていただろう。あるいは、山上が安倍を仕留め損なって安倍が生きながらえていたら？一つ間違えれば日本の民主主義はとどめを刺されていたかもしれない。

安倍殺害がプラスに働いたのは偶然に偶然が重なったからにすぎず、山上の行為は日本の民主主義に危機をもたらすものだった。やはり暴力で社会を変えるというのは時代錯誤の考えであり、困難な道でも安倍晋三は政治的に倒されるべきだったと私は思う。