ミナミノアミ画集「WATCH」(
日々詩編集室)読んだ。
おばけが棲みついているアパートに暮らすふたりを見つめたイラスト集。登場人物はおばけと人間がふたり。ふたりの人間は一緒の部屋に住んでいるわけではなく、どうやら単純に「同じアパート」の住人である、という関係らしい。らしい、というのはおまけペーパーに「別々の部屋番号が書いてあるから」なんだけど、、、ふたりが、外出時とかゴミ出しとか、そんなときにすれ違って挨拶するとか、あの辺の部屋に住んでる人だな~くらいの認識があるのか、それは描かれていない。
共通しているのは「夜」、ひとりで過ごしている姿をおばけに観察されている……ということくらい。おばけは人間を「見て」いるが、人間はどうやらおばけに観察されていることに気づいていないらしい。12枚のイラストには、仕事で疲れて帰ってきたり、映画を見たりしている場面のほかに、「えっ、おばけ、そんなとこまで人間見に行ってるの?!」と驚くような場所のイラストも……。
 

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まるくてかわいいタッチで、おばけも全然こわくなくて、ホラーが苦手な私も安心して見られる。初めてのイラスト集だが、リソグラフの印刷の加減と光と影のメリハリ、紙の色を変えているところとか、とても丁寧に自分の作品が本になることに向き合っているのが紙面からも伝わってきて、とてもよかった。
メインのイラストもいいけれど、巻末についてる後書きエッセイで「絵を描くことが好き」と気づき、その「好き」のかたちのひめやかさが愛おしい。長く絵を描き続けてほしい作家。

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