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カズオ・イシグロ『遠い山なみの光』を読む。
久しぶりに「小説を読んだ」というような読書をした。小説を読むということは「ここには一つの揺るぎない物語がある」という経験ではなくて、もっとやわやわとした輪郭にとぼしい、自分自身の無自覚に滑り込んでくる「あれはなんだったんだろう」という感覚。
万人に確かなものとして提示されない、ごくごく個人的な現象や心象になっていく経験というか。読後すぐ効くものじゃなくて「いつかこの物語が人生で立ち上ってくる瞬間がある、いつかの人生に重なる物語だ」という確信があった。

ハヤカワの本はもう買いたくないなあと思うようなことがあったから、新刊で買うことはもうないと思うんだが、他のカズオ・イシグロの本をまた読みたいとは思う。

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