名誉人種(めいよじんしゅ)とは人種差別政策を行っている政権・制度下において、本来ならば差別されるはずの人種を、差別されない側の人種として扱う制度である。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%8D%E8%AA%89%E4%BA%BA%E7%A8%AE
朝日の記事で「日本のアーティストが「白人」の偉人にふんするかたちで、以上のような差別的な表現を繰り返したことも問題だ。自分たちを「名誉白人」であるかのように植民者の側に位置づけ、先住民を含む非西洋人を見下すような態度が見て取れる。」と記述があるけど、それを言うなら同時に猿を演じているのも日本人であるはずである。
この記事にはどーしても違和感を感じざるを得なかったんだけど、たぶんこういうクソ細かい部分で違和感があり、つまりここで語っている南川文里教授は、「コロンブス」「ナポレオン」「ベートーヴェン」を演じる「日本人」には反応するが、「類人猿(猿人?)」を演じる「日本人」の存在は無視している(これ演じているのたぶん日本人だとおもうけど、実際には演者の人種はわからないしそもそもMrs. Green Appleのメンバーの人種もわからない)。
この受け取り方は偏っているのだけど、それは「植民者としての日本人」という図式が教授の頭のなかにあるからそうなる。記事における「名誉白人」は確実に誤用だけど、この誤用は、教授自身の「植民者としての日本人」という自意識の投影にほかならないとおもう。
ここで「猿」を演じながら教授に無視されている日本人(おそらく)の存在とはなんだろうということをさっきから言葉にしようとしているのだけど、なにか言葉になりそうでならない。
教授のあたまのなかで、「コロンブス」「ナポレオン」「ベートーヴェン」は「日本人が演じている」と同定されつつ、「猿」はそうでない、ということ自体が、めちゃくちゃ無自覚な人種的意識であるようにはおもう。つまり、教授は、映像が「文明=白人=日本人」という図式を語っていると思っているが、じつのところそれは教授自身の脳内の図式の投影にほかならない。猿を日本人が演じていると思わないのは、日本人を猿だと思っていないからである。