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悪役令嬢ものでは、風評がひどいキャラの中に現代人が転生するので、ふつうに過ごしてるだけで「(評判と違って)お優しい…!」と褒められるギャップをまず仕込む。

大筋では、「原作世界のメインヒロイン/日陰者になる噛ませ犬ポジの悪役令嬢」を、噛ませ犬/主人公に反転させるのが悪役令嬢ものの基本形なんだけど、その「原作世界のメインヒロイン」の人物造形が18-19世紀の「徳のあるヒロイン」像のパロディになっているのがキモになる。

大河内昌「家庭小説の政治学」(20015)tohoku.repo.nii.ac.jp/?action= で語られるように、リチャードソン『パメラ』の主人公パメラ像に付与される美徳というのは、近代社会の経済や家父長制にとっての都合のよさの気配が濃いわけだけど、これがパロディにされる段階が悪役令嬢ものだ、ということになる。

その結果、悪役令嬢側が「主体的」であるというふうに配置上の力学が生じやすい。貴族として領地経営をしているし、貴族間の生存競争で戦ってることから、「原作世界のメインヒロイン」との差異化属性が、そのまま生存術みたいに位置付けられる作中再解釈が加わっていく。

「原作メインヒロインキャラにころっとやられる男たち」描写ではミサンドリーが、「男うけのする女」への敵意ではミソジニーが付与される。これは、男向けなろうがハーレム等々のモチーフで常時ミソジニー的で、「絡んでくるチンピラ男をボコボコにする」過程でミサンドリーも混ぜるのと、好一対な操作となっている。
男女ともに同性への嫌悪では「所詮、実力とか地位次第だろ」みたいな認識が働きがち。でもなろう主人公は男女ともに実力と地位で承認されるコースを歩むので、嫌悪してる対象と信念上の差がない(信念間のコンフリクトとその変容を経る作劇があまり成立していない)

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