樹村みのり面白いぞと言われて読んでる。

24年組のなかにも左派政治志向があったんだ(そして、前世紀後半の脱政治秩序が24年組像にバイアスをかけていたんだ)、ということを考えさせられるなあ。

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作品集1の冒頭に入っている「贈り物」がとにかく良い。
このフーテンこそが、68年論の後ですっかり消えてしまった、「新左翼のもっていた文化の魅惑」だろう。

『贈り物』に出てくるフーテン。
00年代前半ぐらいまであった「社会のアウトサイダーであるホームレスの叡智」類型ってフーテン新左翼イメージの末裔だったのかな。
『アクメツ』ラストにも使われていて、当時すでに古臭く映っていた(小泉っぽい元首相がホームレス隠者になるエンド)。

00年代中盤以降はホームレスは「炊き出し支援の対象」に変わっていくし、貧困問題のイシューとして迫り上がってくる。

なろう作品のスラム貧民への炊き出しミームもここから生えているし、「貧民に感謝されて承認欲求を満たすチャリティー」の回路に化けていく。

『贈り物』のフーテンおじさんの持ってる魅惑の現在形が、揶揄だとか揶揄されがちなポピュラーフェミニストのもつ力であり、社会の外を見せるプレイヤーなんだろうと見ると、この作品は俄然息を吹き返す。

論理的ではないとかアジテーションだとか揶揄されがちな
だった。

この「社会の外の知」の格下げ過程は、たぶんこれコリンウィルソン『アウトサイダー』が持ってた影響力、まだそれが残存していた90年代の「別の知性」としてのサイコパス像、そして00年代後半以後の「サイコパス」がただの迷惑存在として口にされる変容と並行している。

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