SCENE3 ③
なんでこんな記事が書かれているのか理解ができなかった。
自分たちは今ここにいるのだから遺体など見つかるわけがない。
しかし、家族や警察、大学にも連絡を入れたのだからこれは誤解だという連絡をまた入れればいいのだと気づく。
だが----
何度連絡をメッセージを送信しようとしても、失敗する。
何度電話をかけようとしても、コール音が鳴るまでもなく切れてしまう。
他の全員に呼びかけ、全員で記事を確認した。
そして全員があらゆるツールで連絡のやりとりを試すも、結果は同じだった。
全ての連絡手段を試し、失敗したころようやく状況が変わったことを理解した。
そう。外界との連絡手段が断たれてしまった。
なぜこうなってしまったのか。
何者かに電波を阻害されている?
いやしかし、検索などの情報の受信はできているようだった。
発信だけを阻害する手段があるのだろうか。
それとも、自分たちこそが情報を発信できない存在になってしまったのだろうか。
…自分たちの遺体は本当に見つかったというのか。
だとしたら、今ここにいる自分たちは。
SCENE3 END
SCENE2 ②
そしてそんな夢を立て続けに見るこの状況は、子供たちが怯えてしまわないかと危惧していた。
ここでは鴉羽雨之助が年長者だ。
ここにいる全員が年下というこの状況は、彼にプレッシャーと多くの懸念を与えていた。
春夏冬レンとシャーロット・ワトソンの二名に関しては特に気掛かりに感じていた。
春夏冬レンは鴉羽雨之助自身と。
シャーロット・ワトソンは女性陣と共に就寝起床しているため、すぐに心のケアが出来るのが彼にとっては幸いだった。
しかしケアをしている側も雨之助からすればまだ若い、子供のようなものだった。
恐怖による精神ストレスから、いつか限界がくるかもしれない。
「悪い夢はバクさんが食べてくれるよ」
なんて言えば、子供たちの恐怖は薄れるだろうか?
鴉羽雨之助は、そんなことを考えていた。
SCENE2 END
SCENE2 ①
あれから時折、夢を見るようになった。
共通しているのは二点。
まず、どれも怪異的なものが関わる夢であること。
今しがた目を覚ました鴉羽雨之助もどこかで聞いたことがあるような都市伝説となった話に出てくるものもあるだろう。
もう一点は、[全員が同じ夢を見ている]という事実。
つまり、昨晩鴉羽雨之助が見た恐ろしい夢は、ここにいる子供たちも見てしまったことになる。
これは夢を見始めてすぐ、話題に出て全員に確認したことで発覚していた。
ただ、夢の中での結末は各人違うようだ。
悲惨な結末を迎える者もいれば、話に聞くような恐ろしい目に遭わないまま目を覚ます者もいるようだ。
鴉羽雨之助は、恐ろしい結末を迎える夢を何度か見ていた。
その違いは何なのだろう。
それが最近ここにいる者たちの話題に上がることもあるが、やはり原因はわからずじまいだった。
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