もう、何といったらいいのか、言葉がまったく追いつかない。切々と……嫋嫋と……縷々と……ううう、どれもピンとこない。いつものダイナミック&ドラマチックな迫力ある木村節を封印し、揺れるようなうねるような柔らかく切ない節に、信じがたいほどの感情と情感を込めて。人間の声って、感情をあんなにも表現できるものなんだ。もうただただ胸が揺さぶられて、涙が出っ放しになった。会場のあちこちから洟をすする音。勝千代さんも泣きながらの、全身全霊の入魂の一席だった。
終わると、勝千代さんはいつもなら笑顔で挨拶してフォトタイムとなって、おどけて色々なポーズを決めてみせるのだけれど、今日ばかりは勝千代さんも、美舟さんも、そして会場の客もみんな、ものすごいものを共有した感動のあまりしばし放心。本当はこれを一席目にしようとしたのだそうだが、これをやったらもうほかに何もできなくなるから、ということで二席目にしたのだそう。フォトタイム中もポーズをとることなく、ずっと話をしておられた。すごいものを聴いた。次回はまた面白そうな企画が最後に急遽決定した。この会は絶対に聞き逃せないし、絶対に遅刻しちゃダメ!