【木村勝千代独演会】2024年5月19日(日)14:00~15:40

勝千代「秋山の民話より 姥捨山」
トーク 勝千代&杉江松恋
仲入り
勝千代「原爆の母」
曲師 広沢美舟

今日は何を思ったか、時間を一時間間違えるという痛恨のミス。東京駅に着いた時点で開演時間を過ぎていた。今日は特別な一席をかける日なのに、それを先にやっていたら後悔してもしきれないと、半泣きで走りに(休みつつ)走って、どうにか一席目の残り15分は聴けた。何度か聴いている演目でよかった。あー、ほんとに青ざめた。

そして二席目は、昭和の一世を風靡し、美空ひばりも真似をしたと言われる歌謡浪曲の天津羽衣さんの一席。十代の勝千代さんが、ご当人から演じることを許されたのだという。それを美舟さんが浪曲の三味線に仕立て直したらしい。

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もう、何といったらいいのか、言葉がまったく追いつかない。切々と……嫋嫋と……縷々と……ううう、どれもピンとこない。いつものダイナミック&ドラマチックな迫力ある木村節を封印し、揺れるようなうねるような柔らかく切ない節に、信じがたいほどの感情と情感を込めて。人間の声って、感情をあんなにも表現できるものなんだ。もうただただ胸が揺さぶられて、涙が出っ放しになった。会場のあちこちから洟をすする音。勝千代さんも泣きながらの、全身全霊の入魂の一席だった。

終わると、勝千代さんはいつもなら笑顔で挨拶してフォトタイムとなって、おどけて色々なポーズを決めてみせるのだけれど、今日ばかりは勝千代さんも、美舟さんも、そして会場の客もみんな、ものすごいものを共有した感動のあまりしばし放心。本当はこれを一席目にしようとしたのだそうだが、これをやったらもうほかに何もできなくなるから、ということで二席目にしたのだそう。フォトタイム中もポーズをとることなく、ずっと話をしておられた。すごいものを聴いた。次回はまた面白そうな企画が最後に急遽決定した。この会は絶対に聞き逃せないし、絶対に遅刻しちゃダメ!

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