5月2日(木)は一日盛りだくさんの浪曲Dayだった。まずは木馬亭定席。

琴哉・金魚「恋と武士」
綾・美舟「出世定九郎」
はる乃・道世「忠治関宿」
勝千代・まみ「芋大明神」
~仲入り~
太福・鈴「男はつらいよ第29作 寅次郎あじさいの恋」
講談 安久鯉「徳川天一坊 伊豆味噌」
琴美・金魚「愛馬の勝鬨」
柳・美舟「一本刀土俵入り」

はる乃・道世「忠治関宿」
木馬亭ではコミカル路線が多い気がするけれど、今日は侠客物。先日の関の弥太っペもそうだったけど、これも忠治がほんとうにカッコいい。惚れる。声もいつものように素晴らしい。仲入りのときに若手が総出で声を出して物販していたけど、はる乃さんの声がやっぱり一番通る(^^)。

勝千代・まみ「芋大明神」
甲州街道浪曲の一つ。まだ未聴だったので嬉しい。甲州の飢饉をじゃがいもで救った代官・中井清太夫の実話に基づいた勝千代さん作の一席。じゃがたらいもが長崎から来たことや、原産地ペルーから始まるじゃがいもの道中付けが楽しかった。お召し物もじゃがいも色の徹底ぶり。

講談 安久鯉「徳川天一坊 伊豆味噌」
安久鯉さんの浪曲はいつ聴いても素晴らしい。折々に適度なくすぐりを混ぜつつ、本当にドラマチックに語り下ろし、ダイソン並みの吸引力で聴く者をぐいぐい引き付ける。脱帽。

このあと軽い夕食を挟み、夜の部の会場へ。今日は会の前にワンコイン・プチ浪曲講座。思いの外受講者が多く、12人くらいいただろうか。勝千代先生自作の資料に基づき、浪曲の構成や、それぞれのパートに特徴的な節を実践したあと、まみさんの三味線に載せて実際にみんなでいくつかの節を唸ってみる。一人一人順番にやるところもあって、緊張したけど、プロの曲師さんの三味線に載せてできるなんてめったにあることじゃない。みんなの出来がいいと勝千代さんは大いに驚きつつ、教え方がいいかしら、とご満悦。30分の予定を少しオーバーして、最後は腹からの声の出し方も。

この講座を終えて実際の浪曲を聴くと、ああ、このパートがセメだな、これが合いの子節ってやつだな、そうそうこれが道中付け、とよくわかって楽しい。ものすごく面白かった。ぜひ第2回もやってもらいたい。

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講座の後、本日の最後を飾るかつちよかい。

勝千代「慶安太平記 善達箱根山」
勝千代「日光開山 山菅の蛇橋」
曲師:まみ

勝千代「慶安太平記 善達箱根山」
木村派の代表曲のひとつで、何度か聴いている。初めて勝千代さんを聴いて、矢が飛んできて心臓に刺さったときがまさにこれだった。外題付け(冒頭の節)の部分の「木村と言えばあんぱんと…いえいえ、木村と言えば慶安太平記だよ~」のところが大好き。途中珍しく歌詞が飛ぶハプニングもありつつ、いつものように楽しい一席。

勝千代「日光開山 山菅の蛇橋」
これは初聴き。日光を開山した勝道上人の生い立ちから男体山へ渡るまで。生まれる前からも、生まれてからもずっと、奇跡と超常現象と神秘が当たり前のように降ってくる生涯。クライマックスの蛇の橋ができるところの迫力がすごかった。勝千代さんにも何かが乗りうつったかのように。このところ精神が完全に淀んでいるのだけれど、ちょっとだけ元気出た。

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