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【玉川奈々福 喬太郎兄さんにふられたいっ!】2024年4月5日(金)19:00~21:10@紀尾井小ホール

この二人会は昨年から、喬太郎の「ふった」お題で奈々福が新作をつくって披露し、喬太郎もお題に関連する一席をかけるという構成。昨年は「日本の民話」というお題で、奈々福さんの「ものくさ太郎」という名作が誕生した。今年のお題は「神社仏閣」。

浪曲 奈々福・美舟「おづのおんつぁま」
舞台転換中のトーク 奈々福&美舟
落語 喬太郎「蒟蒻問答」
~仲入り~
浪曲 奈々福・美舟「天保六花撰 上州屋玄関先」
エンディングトーク 喬太郎&奈々福&美舟

一席目の新作は、浪曲の源流をたどると修験道の祭文に行き着くという理由で、コロナ禍前に奈々福さん自身が出羽三山の2泊3日の修行に参加したときの「実体験」を題材にしたもの。急峻な崖を下っているとき、奈々福の目の前に2人の童子が現れ、いざなわれてたどり着いた異界と、そこで出会った不思議な人物の正体とは…というお話。お題から修験道に発想を飛ばし、さらにSF風味や修験道の歴史も絡めた知的な構成はさすが奈々福さん。しかも怪しくて荒唐無稽。あくまで「実体験」と言い張っていたけど、どこまでが本当なのか。ともあれ、奈々福さんの発想力が際立った一席だった。

しかも特筆すべきは美舟さんとの呼吸。一発勝負なのに本当に息ぴったりで、場面の緊迫感やら何やらを見事に三本の糸で演出してみせる。やっぱりたいしたものだ。只者にあらじ。

ここで浪曲のテーブルをしまう舞台転換のあいだ、カーテンはしまったままで奈々福&美舟のトークが聞こえてくる。ふたりの共通の趣味はまさに神社仏閣巡り。ふたりでいろいろ行ったし、美舟さんが仏像に詳しくていろいろ教えてくれるのだそう。「この季節に見たい仏像はどこの何?」という奈々福の問いに対し、聞いたことのない寺の仏像を2つあげていて、なんだかすごいと思った。のちに登場した喬太郎師はその方面に全然知識がないということで、引きながら2人の話を聞いていたらしい。

喬太郎師は、神社仏閣からの流れで蒟蒻問答。違和感を覚えるくらいにごく普通の一席だった。

奈々福さんが古典をもう一席。やはり神社仏閣に関連するということで「上州屋玄関先」を。凄かったのは、古典であるにもかかわらず、途中で蒟蒻問答のジェスチャーを入れこんで爆笑をさらったこと。こういうふうに、前の人の演目から一部を取り込むのは喬太郎師がよくやることで、そのお株を奪った感じ。さすが、浪曲界の喬太郎と称されている(かどうかは知らないが少なくともわたしはそう思う)だけのことはある。

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