【新春なかの浪曲大会・夜の部】2024年1月8日(月)18:00~20:45

若手と中堅による会。普段木馬亭で言えないことをマクラで熱く語ったり、テーブル掛け交換の場面をあえて幕を閉じずにコント仕立てにしてわちゃわちゃ見せる演出があったり、くつろいだ愉快な雰囲気ながらも若いエネルギーが輝くようなすごく楽しい会だった。今回が初開催とのことだが、第2回もぜひ。

綾・美舟「楽屋草履」
志乃ぶ・理緒「赤城おろし」
すみれ・理緒「元禄忠臣蔵 琴の爪」
~仲入り~
太福・みね子「阿武松」
奈々福・美舟「寛永三馬術 愛宕山梅花の誉れ」

綾さん、市川團十郎に似ているというのが持ちネタなんだけど、それを言うのは日頃師匠から止められているらしく、でもなんとか客から「成田屋!」の掛け声をもらいたくての婉曲なあの手この手が楽しい。本当にいいキャラクターで場を盛り上げる。噺のほうも芝居物がよく合っていて、聴くたびお上手に。

志乃ぶさん、こういっちゃなんだが風貌が女賭博師みたいな感じなので、任侠物が本当に良く似合う。啖呵の部分が素晴らしくぐいぐい引き込まれた。節も良いし、もっとお上手になると思う。声もキンキンしたソプラノじゃないのが好み。やっぱり新人の中では私的期待の星。

フォロー

すみれさん、江戸時代の武家の女性に生まれなくてよかったと思うような悲劇。現代人には心情を理解するのが難しいね。細やかな節は丁寧だけれども、もっと自然なグルーブ感が出てきたら本当にすごい人になりそう。

太福さん、人気があって落語家さんとの二人会なども多いけど、女流びいきで声節重視の初心者のわたしにはそれほど響かない。面白いとは思うのだけれど、噺家さんが節も唸ってみました、みたいな感じに思えてしまう。あくまで初心者の放言。

奈々福さん、今日もすべて持っていった。きのう木馬亭の講談で聴いて、「この噺好きじゃない」と思ったばかりの「愛宕山梅花の誉れ」。なのに、とても同じ噺とは思えない、これってこんなに面白い話だったの?もしかしてわたしはこの噺じゃなくてきのうの講談師が好きじゃないだけだったのか、と思うほどの大盛り上がりの一席だった。奈々福さんの発散するオーラは、客をみんな乗せてくるくる巻き込む。現代的なくすぐりを入れつつも、圧倒的な声と節の迫力で聴かせる。やっぱり段違いにすごい人だ。
それに特筆すべきは美舟さんの三味線。馬が階段を上がる音、止まる音、階段から落ちる音、三味線ってこんな音が出るんだというのをドンピシャのタイミングで息ぴったりに決めてみせる。人馬一体の噺だけれど、浪曲師と三味線の一体感も尋常ではなく、それが客席とも一体化して、何が何でも楽しくなるものすごい空気になる。終わったあとに飛んだ掛け声の分厚さが観客の満足感をすべて表していたと思う。

最後の手拭い撒き、美舟さんか志乃ぶさんのが欲しかったけど隣りの男性に取られた。ちっ。

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