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【浪曲かるた亭】2023年11月17日(金)18:00~20:00

天中軒すみれ「安兵衛婿入り」
東家孝太郎「入れ札」(菊池寛原作)
~仲入り~
澤雪絵「大つごもり」(樋口一葉原作)
曲師:玉川鈴

初めての浪曲かるた亭。なんたって場所がいい。神保町の有名なかるた専門店「奥野かるた店」の二階。一階は店舗で色々なかるた類を販売。二階は普段はミニ博物館だそうで、珍しいかるたやトランプなどが展示されている。演者の立つ後ろの壁にも素敵な掛物がかかり、30人くらいのこじんまりした空間はほぼ満席。ちゃんとちょーんと木も入って雰囲気もあって、なんだか特別感たっぷりの会だった。お席亭の挨拶に先立って、まずお店の店主の方の挨拶があったのもほのぼの。見やすく聴きやすく、すごく気に入ったので絶対にまた行きたい。

天中軒すみれ「安兵衛婿入り」
もともと声がのびやかで声量もあってスケールの大きさを感じていたけれど、最近は聴くたびに節回しが細やかに上手になっていて、若手のホープといわれるだけのことはあるなあ。啖呵の部分も場面がよーく浮かんできて、とても楽しい。木馬亭でもこの演目は聴いたことがけど、あの空間でじっくり聞けたのですごくよかった。

東家孝太郎「入れ札」(菊池寛原作)
これも先月だったかに木馬亭で聴いたばかりだったけど、やはりじっくり聴けてよさがきわだった。あの地の底から湧いてくるようなダミ声はすごいよなあ。のどが痛くならないんだろうか。今回はとくに、忠治と離れることになる老いた侠客の悲哀と、そのふたりを秋の野原の風が吹きすぎていくラストの場面がなるほど文学的で切なく心に残った。

澤雪絵「大つごもり」(樋口一葉原作)
今日がネタ下ろし。緊張されていると話し、客席も何となく張り詰めた感じで聴き入った。拍手のしどころもよくわからなくて、結局最後まで入らないまま皆でしーんと耳を傾けた。ところどころ言葉に詰まったり噛んだりするところもあったけど、娘の揺れ動く心情がひしひしと伝わってきてとてもよかったと思う。終わったあとに、ほっとして「ようやく終わった」と漏らしていたのが印象的。最後に、演歌歌手としても活動している方なので、持ち歌の「風の演歌節」を三味線の生演奏付きでワンコーラスのサービス。

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