ちょうど開催1周年になった「積読へらさないと」に今月も参加しました(vol.12)。喫茶こともしでの開催も春から半年経ってあっという間ですね。普段どちらかというとビジネス書が多かった気がするが、今日は探偵小説に詳しい人も参加しており、そういえば小説を取り上げたのも初めてだ。
今回持参したのは『ペスト』(アルベール・カミュ/中条省平訳/光文社古典新訳文庫)でした。2021年9月発行以来最近までずっと未読だったが、ロックダウン中に深夜に飲み騒ぐ者が出たり、ワインに殺菌作用があるとかミントのど飴に感染予防作用があるとされて店頭から売り切れたり、ラジオで毎日の感染者数が発表されたりと、当時はとてもフィクションとして読めなかっただろう。細かい描写を重ねたり、章の最後の一言で突然市内が封鎖されたりする鋭い文体は以前読んだ村上龍の作品にも似ているな。
以前の回で参加者の大学生が紹介していた『夜間飛行』(サン=テグジュペリ)も光文社古典新訳文庫で読んだけど、リアリズムと純粋さが同居しているところがよく似ていて、フランス文学は意外と硬派だなと思いました。