フォロー

 “9.11.をコーツはブルックリンから目撃していた。「その日ニューヨークにいた全員に物語があると思う。……煙がもうもうと立ちのぼり、マンハッタン島を覆っていた。……だけどアメリカの廃墟を見つめながら、僕の心は冷めていた。僕には僕だけの惨事があった。僕たち黒人を異様に警戒する警官たちの例に洩れず、プリンス・ジョーンズを殺した警官も、アメリカ国民の暴力装置だった。……マンハッタン島南部が、僕ら黒人にとってはいつでも「グラウンド・ゼロ」だった歴史を考えていた。彼らはそこで僕たちの肉体を競売にかけていたのだ。荒廃した、いみじくも「金融街」と名づけられた同じ場所でね。……だけど、ニューヨーク市のあの場所に恐怖テロを持ち込んだのは、ビン・ラディンが最初じゃないのは確かだ。……その後の数日間に僕が目にしたのは、滑稽なほどに飾られた国旗の列、消防士たちのマチズモ、そして凝りすぎたスローガンだった。クソ食らえだ。プリンス・ジョーンズは死んだんだ」。”

訳者 池田年穂氏 特別寄稿「キング・トランプ&プリンス・ジョーンズ」
keio-up.co.jp/kup/gift/coates.

ログインして会話に参加
Fedibird

様々な目的に使える、日本の汎用マストドンサーバーです。安定した利用環境と、多数の独自機能を提供しています。