木庭顕著 『クリティック再建のために』
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「テクスト解釈に限定しても、様々なテクスト理論、ヘルメノイティクやナッラトロジーや脱構築やコンテクスチャリズムなどがどんどん流入する状況下、何一つ本当には咀嚼されていかない。それらが理解されないし、理解するための準備もない。まして的確に批判されない。それらがのっている分厚い基盤自体が理解されないからである。いつまでたっても積み上げができない。流れてきたものを表面的に右から左へ流すだけであり、自立した思考は育たない」。
“なおここは、『賢人と奴隷とバカ』における酒井隆史による魯迅と竹内好を参照した「優等生」批判とも重なる。近代日本を作り上げた「優等生」は、その時々で時流に合わせてするすると姿を変えていく。著者のような人が『賢人と奴隷とバカ』をどう読むのかはわからないが、少なくとも日本の官僚やジャーナリズムを含めた広い意味での知的世界の実状を表すものであろう。”