“光州事件もまた「暴徒が起こした暴動」とされ、一般の市民が真実を知ることは1987年の民主化後まで不可能だった。そんな中で、事件直後の6月に、地元新聞の『全南毎日新聞』は一面に金準泰(キムジュンテ)(1948~)の詩「ああ、光州よ、わが国の十字架よ」を掲載した。これは、どんな記事を載せてもどうせ検閲で削除されてしまうから、詩を載せようという編集局の判断によるものだった。事件を目撃した金準泰の作品集には、妊娠中の女性が胎児と一緒に殺されたことなども織りこまれて、報道の役割まで務めている。新聞に詩が掲載されると、金準泰は逃亡生活に入った。”
#読書
4章 시 (シ)詩
現代史の激痛と文学
『隣の国の人々と出会う 韓国語と日本語のあいだ』 斎藤 真理子 著
https://www.sogensha.co.jp/productlist/detail?id=4767
“無念の大量死の蓄積が社会の根底にあり、追悼が禁じられている。ここにも、韓国で詩人たちの仕事が重要でありつづけた理由があるのではないだろうか。1987年の民主化以降少しずつ、歴史の封印が解かれ、犠牲者たちの名誉回復も進んだが、真相究明の作業は今も続行中だ。”
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