夜明けの路地裏で
おまえの名を書く 民主主義よ
ぼくの頭はおまえを忘れて久しい 
ぼくの歩みがおまえを忘れて あまりに あまりに久しい
ただひと筋の
灼けつく胸の渇きの記憶が
おまえの名をそっと書かせる 民主主義よ
[後略]

『灼けつく渇きで』金芝河

japan.hani.co.kr/arti/opinion/

 “当時、これほどの暗黒の中でも、人間はこのように誇らしく輝くことができるのだと感じた。私だけではない、日本人を含め世界の少なからぬ人々が、その感激を共有し、韓国民主化闘争を声援した。いま、あれほど輝いていた詩人がこれほど凡庸で愚かになることができるのだという事実を私たちは見せつけられている。これが、今という時代の暗黒だ。一見かつてと同じような暴力的な姿をとってはいないが、人間精神に対する恐ろしいまでの失望と冷笑が蔓延している。私たちは今後、この冷笑の闇を生きなければならないのだ。”

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震える手 震える胸
震え こみあげる怒りで 板切れに
白墨で ぎこちなく
書く

息をこらし むせび泣きながら
おまえの名を そっと書く
灼けつく渇きで
灼けつく渇きで
民主主義よ 万歳
 『灼けつく渇きで』金芝河

『詩の力 徐京植評論集Ⅱ 「東アジア」近代史の中で』
koubunken.co.jp/book/b202018.h

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