“2020年まで、韓国で兵役を拒否した者は否応なく収監の対象とされてきた。
この制度を変えるべく活動を続けてきた──自らも兵役拒否者の──著者および「戦争なき世界」という社会運動団体は、ついに2018年に大法院(日本でいう最高裁)の違憲判決を勝ち取り、2020年の法施行によって「代替服務制」(軍服務ではなく、矯正施設の重症患者や身体障碍者などの生活補助などに従事する)を実現する。
この「代替服務制」を韓国社会が導入するまでのドキュメント、および、韓国の兵役拒否者たちの歴史、また、社会運動団体「戦争なき世界」がその活動を通じ辿り着いた境地、そして現在の「代替服務制」の問題点などをまとめた、迫真の書。
徴兵制が敷かれる社会で兵役を拒否する重圧とはどれほどのものなのか? そして著者たちの諸運動/諸戦術がこれまでの韓国国内の社会運動の語り口をいかに変化させ(そこではフェミニズムの諸実践が大きく影響する)、ひいては韓国社会そのものへと大きな変化を迫ったのか? 彼らの数々の「問い」は、軍拡に邁進する日本社会にも鋭く突きつけられるものである。”