加藤陽子・評 『軍国の文化 上・下 日清戦争・ナショナリズム・地域社会』=羽賀祥二・著https://mainichi.jp/articles/20240113/ddm/015/070/007000c
“「社会全体から見れば、多くの戦病死者は無名の存在であった。……しかし、戦病死した兵卒は、自己の出身の町や村では決して無名ではない。生まれた家があり、彼を取りまく地域があった」
犠牲をしかと受け止めた地域協同体は、同時に、戦争を支える協同体ともなる。それを本書では、広島や上野で開催された戦勝祭典から描く。会場は、協同体の敵対者への嘲笑や揶揄(やゆ)が表出される場となり、李鴻章などの清国指導者や清国兵を模した工作物がその対象とされた。”