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“当然の権利、と人は言いますが。
力の強い人たちによって富もケンリも独占され
貧しく弱い者はその当然のものを
素手で勝ちとるほかない
さびしい季節に生まれました。

もういちど申します。
最低限度の生活を維持したいのが
私の願いでした。
国はそれを保障してくれたことがありません。
国とは何でありましょう。

おかしな話になりましたが
その単純さで
ケンポーは自分のものだと思っています。”

石垣りん『たそがれの光景』(「とうきょう広報」増刊号、一九七四年)より

“国とは何でありましょう。”

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