人が大切だという概念がなく、庶民の立場を考えて行動しないのが、現在の官僚の大きな問題点である
――方方『武漢日記』(2020年)
吉岡忍
2024年1月5日
magazine.msz.co.jp/series/yosh

「ある国の文明度を測る唯一の基準は、弱者に対して国がどういう態度を取るかだ」

 “方方の記述の前提にはいつも具体的な事実がある。そのあとで、この日の日記にも「私は、政府がこの件を引き継いだからには思いやりを発揮して、こうした老人の抱える問題を軽視することはないと思う」と書き添えている。そして、その上で上記の「ある国の文明度を測る唯一の基準は……」と、念を押すようにつづいていく。”

 “こうした一節の構造から浮かび上がってくるのは、巨大な国家を見ると同時に微細な社会も見るという方方の手法――というより、大きなまなざし自体である。生々しい社会の現実や人々の姿をとらえる一方で、国家の動きも見逃さない。彼女は両方を、ひとつのまなざしのなかでとらえようとする。その意志がはっきりと伝わってくる。”

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「弱い者がどう扱われているかによってその国の文化程度がわかる」
この言葉を連想した。

光に向って咲け
斎藤百合の生涯

粟津 キヨ
iwanami.co.jp/book/b267765.htm

内容説明
「弱い者がどう扱われているかによってその国の文化程度がわかる」と言いつづけ,盲女性のために苦闘した斎藤百合.幼児失明の不運を努力と天性の明るさでのりこえ,四人の子を生み育てながら東京女子大学の第一期生となった彼女は,「盲女子高等学園」の設立をめざすが…….百合に親しく導かれた著者が描く,知られざる先覚者の姿.

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