読み返している。
 

 “ニ〇〇一年には同議員(自民党極右議員)らがNHKに圧力をかけ、ニ〇〇〇年の女性国際戦犯法廷を取材した番組が放映直前に改編された。同法廷はアジア各国の「慰安婦」被害者らの証言と関連資料をもとに具体的な被害・加害を詳細に明らかにしたうえで、国際人権法の専門家を招いて開廷した極めて水準の高い民衆法廷であり、国際的には大きな反響を呼んだ。
 だが安倍晋三(当時官房副長官)はNHK幹部に直接会いにゆき、「偏った番組」であり女性国際戦犯法廷は「北朝鮮の工作員によるもの」というデマを用いて、圧力で番組を変えさせた。(略)だがこの露骨な政治圧力による言論弾圧事件は野放しにされた。なぜならば扱っていた内容が「慰安婦」問題と昭和天皇の戦争責任を認めると言う内容だったからであり、マスコミ一般がタブーとしてほとんど黙殺したからである。
 歴史否定を使って極右が攻勢をかければ、国や自治体はもちろん政治家やマスコミさえ沈黙し、ほとんど何の抵抗もなくレイシズムが増大するという、ニ一世紀日本で日々みられるパターンがこの時にすでに確立されていたのである。”

レイシズムとは何か
梁 英聖
chikumashobo.co.jp/product/978

ここで指摘されている、昭和天皇の戦争責任を問わずタブーとすること。
『野蛮の言説』での、最大の責任者である「大元帥」が戦争責任を問われなかったことを思い出す。

 “すなわち、昭和天皇は〈戦前〉と〈戦後〉が断絶しつつも連続している関係性の象徴でもあり、(七三一部隊を率いた石井四郎)石井をはじめ「免責された者が戦後社会の中枢に居続ける構造を可能にしてきたのだと言えます。”

野蛮の言説
shunyodo.co.jp/smartphone/deta

 反差別ブレーキとしての社会運動が圧倒的に弱く、政治家やマスコミもレイシズム煽動を報道することもない社会構造はどのように成り立っているか。

・一九五ニ年体制による国籍法、入管法への反レイシズムという社会正義がない。極右に対する規制がない。

・プラザ合意以降、大企業の多国籍企業化、グローバル化とそれを背景にする北朝鮮敵視せいさくを背景とした政治による差別煽動の常態化。

・経済のグローバル化による国内産業の空洞化、労働力の非正規化圧力の強化。日本社会の非正規化、「正社員」という社会人モデルに若年層はじめ手が届かなくなったこと。
 
第六章 日本のレイシズムはいかに暴力に加担したのか
レイシズムとは何か
梁 英聖
chikumashobo.co.jp/product/978

他の箇所も読み返していると、戸籍制度自体がレイシズムとセクシズムが絡み合ったものであると実感する。そして、入管法に現れる植民地支配のシステムは、トランスジェンダーを含めた様々な性的マイノリティへのヘイトを煽動しているのではないか、と思う。

 “もはやレイシズムを克服するには、レイシズムにだけ反対する反レイシズムでは全く足りない。その逆に性、人種、階級などの複数の従属を同時に直接反対しうる、レイシズム、セクシズム、階級差別的などを必然にする独特の資本主義の差別システムを変革するような反レイシズムでなければいけないのである。”
第七章 ナショナリズムとレイシズムを切り離す

レイシズムとは何か
梁 英聖chikumashobo.co.jp/product/978

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