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 “しかし、夫に妻以外の女性との性交渉が許されたのは、単に「家」制度を守るという理由からだけではなかった。前述したように、貸座敷制度が存在し、買売春が公認されていたからでもある。もし、夫に妻と同様の性の規制を課したなら、貸座敷は存在し得なくなる。そして、買売春を公認する限り、それと不可分の人身売買にも政府は寛容であった。”

第1章 国民国家の成立と差別の再編
3 近代天皇制と「家」の桎梏

差別の日本近現代史
包摂と排除のはざまでiwanami.co.jp/book/b223928.htm

公娼制度──「慰安婦」動員の基盤
 “そもそも、「慰安婦」について論じるとき、もちろん、植民地や占領地の女性に対する日本軍の武力を背景にした強制があったということは重要な論点となる。しかし、それだけではなく、なぜ「慰安婦」という名称が使用されたかということについても考えなければならない。まさに、女性が男性に「性的慰安」を与えて戦意を高揚させるという発想こそが問題なのである。男性の「性的慰安」のために、女性には性的苦痛を甘んじさせて当然とする論理は、日本の公娼制度を維持させた基盤であるが、まさに男性には性的たくましさ、女性には性的やさしさを求めるジェンダーの視点がそこにある。そして、何よりも戦時性暴力という女性差別が「慰安婦」を生み出した元凶である。”
第3章 アジア・太平洋戦争と動員される差別――「国民」と「非国民」
4 戦場への動員

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