“歴史をふり返れば、一九一八年の米騒動の際には、政府は “よからぬ” 被差別部落民が米騒動の首謀者であるという宣伝を繰り返した。差別を利用して部落外の民衆と分断することによって、全国に及んだ米騒動の拡大を阻止しようとしたのである。今年一〇〇年を迎える関東大震災時の朝鮮人・中国人、社会主義者等の虐殺事件も、混乱に乗じて、民衆が持っていた差別意識を利用した権力が民衆を煽って引き起こした事件である。甘粕事件、亀戸事件は、権力が直接手を下して、社会主義者を葬り去った。それらはけっして過去にのみ起こりえた事件ではない。権力のチェックを怠れば、いつでもこうした事件は繰り返される。”
黒川みどり いま狭山事件を問うこと[『図書』2023年9月号より]https://tanemaki.iwanami.co.jp/posts/7458