山本圭さんの『嫉妬論』(光文社新書)読了。嫉妬 envy という言葉を軸とした政治哲学入門、といった趣もあった。僕は本書でも紹介されているルネ・ジラールの「羨望(欲望)の三角形」理論に昔ハマって(『欲望の現象学』)、それ以上の考察をしてこなかったな(あれはフロイトの「エディプスの三角形」と相似形の理論だから、精神分析にハマっていた僕にはドストライクだったのよね)。
昔の自分(特に学部生時代)を考えると、R.ジラールの理論もそうだが、M.フーコーの「生権力」論、L.フェスティンガーの「認知的不協和の理論」とかフロイトの「無意識(及びトラウマ)」理論という、ある意味何にでも当てはまる「でかい理論」の入口に立っただけで満足してしまい、思索を深めてこなかったな、と反省しきり。要するに、哲学的な形而上的議論よりも、目の前の現象を快刀乱麻に切ってくれる「ツール」としての大理論を探していたんだよな、僕は。
https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334102241