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新聞の渡辺京二さんの訃報の記事を『逝きし世の面影』(平凡社ライブラリー、2005)に挟み込む。彼の『北一輝』(朝日新聞社、1978)も買ってはいるが、実は未読。実は北一輝って、僕にとってはなかなか食指が動かない対象なので。
僕が渡辺さんの名前を知ったきっかけは恐らく石牟礼道子『苦海浄土』の解説「石牟礼道子の世界」ではなかったか。石牟礼さんの残酷で美しい曼荼羅めいたこの作品の「創作秘話」を教えてくれたものとして記憶に残っている。少し引用すると「『苦海浄土』は聞き書き謎ではないし、ルポルタージュですらない。(中略)石牟礼道子の私小説である(p.309)」「すると彼女はいたずらを見つけられた女の子みたいな顔になった。しかし、すぐこう言った。「だって、あの人が心の中で言っていることを文字にすると、ああなるんだもの」。この言葉に『苦海浄土』の方法的秘密のすべてが語られている。それにしても、何という強烈な自信であろう(p.311)」
『逝きし世の面影』も色々毀誉褒貶がある書物だが、今度じっくり読んでみたいと思う。

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