その2
「俺の吸ってる葉は……、東方地域の葉だ。ここじゃ滅多に手に入らない。……あんた、いい加減、俺なんかに構うのはやめたらどうだ。」
その好奇心を満たしてやれるものは俺には無い。どうせそのうち飽きて疎遠になるのだから、俺を傷つける事なく放っておいて欲しい。ささやかな敵対心を込めて返事とする。
冒険者を視界の外に外し、煙をゆっくりと吸い込む。憤慨したければするがいい。そう思って身構えつつ、息を吐き出すが……。
「東方地域ならツテがあるので、探してみますよ。どこが産地か、教えてくれますか?」
意外な返答に、思わず冒険者に顔を向ける。どこぞの貿易商とでも付き合いがあるのか?とてもそうには見えない。
そうしてまじまじと顔を見つめたので、彼女とばっちり目が合ってしまった。その薄桃色の瞳は相変わらず好奇心に輝いていて、俺はつい、故郷の話をしてしまったのだ。
まだ出会って日が浅いハドゥとくたそ
「バトハドゥさんは何か好きなものはありますか?次に来る時、お土産に獲ってきますよ。」
頭の上にピンと立つ白い耳をこちらに向けて、冒険者の女は俺に問いかけた。手には川魚。目線はそれに注がれている。彼女は慣れた様子で手際よく捌き、内臓を取り出して干物にする準備をしている。
それを眺めながら一服をしていたが、好きなものという言葉にはたと煙を吸う事を忘れる。俺の好物は何だったか。適当な相槌の後に続く言葉が無く、少しして彼女の方からもう一度話しかけられる。
「遠慮してますか?」
「……いや。思いつかないだけだ。」
自分のつまらなさを突きつけられた気分になり、なるべく突き放すような語気を出す。
「じゃあ、それはどうですか。煙草。」
苛つきを感じて吸おうとしたパイプに、彼女の目が向く。薄桃色で、瞳孔は縦に割れている。好奇心に満ちた眼差しに、なんとなく気圧される。
とはいえ、クーはまるきり無傷というわけでは無かった。雪吹き荒ぶ極寒の地で、2人は這々の体で崖下の横穴に避難する。
クーの治癒魔法であらかたの傷を癒したものの、クルザスの寒気は2人を骨の芯から冷やした。命の危機と凍えから、肌を重ねる。
そうして一夜を過ごし、ハドゥはもはやクーから離れがたい感情を得てしまっていた。「このクソ世界をぶっ壊してくれるのは、きっとこの子だ。」
ハドゥはクーの旅路への同行を懇願する。しかし、身を護る術を身につけてからというクーの提案により、ひとまず呪術師ギルドへ案内される。
ハドゥは自分の魔力で戦う術を学び、同時に魔法全般への興味を得た。しばらくの後、ギルドマスターのお墨付きを得てクーの旅路へ合流する。
ハドゥはケレル族を追放されたあと、良い思い出のないアジムステップから遠く旅に出る。おそらく18-20歳。とすると、第七霊災はエオルゼアで被災したことになる。渡航は密航でもしたかもしれない。
ドラヴァニアで葬儀屋の婆さん(ミッドランダー)に呪術師の才能を見出され、なし崩し的に弟子になる。22歳ごろ?
師匠には他にも2人弟子がいたが、ハドゥはそこでも折り合いが悪かった。ハドゥは最後まで3人と馴染めなかったが、師匠はハドゥを見捨てなかった。
くたそよりハドゥの方が魔力の容量がでっかいのを示す話はちょっと描きたいかな……。やろうと思ったらくたそに結構な大けがさせられるくらい出力も高い。元々そういう風に生まれたけど、呪術の訓練を受けて殊更に強化された。数少ないハドゥの優れた箇所。
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