その2
「俺の吸ってる葉は……、東方地域の葉だ。ここじゃ滅多に手に入らない。……あんた、いい加減、俺なんかに構うのはやめたらどうだ。」
その好奇心を満たしてやれるものは俺には無い。どうせそのうち飽きて疎遠になるのだから、俺を傷つける事なく放っておいて欲しい。ささやかな敵対心を込めて返事とする。
冒険者を視界の外に外し、煙をゆっくりと吸い込む。憤慨したければするがいい。そう思って身構えつつ、息を吐き出すが……。
「東方地域ならツテがあるので、探してみますよ。どこが産地か、教えてくれますか?」
意外な返答に、思わず冒険者に顔を向ける。どこぞの貿易商とでも付き合いがあるのか?とてもそうには見えない。
そうしてまじまじと顔を見つめたので、彼女とばっちり目が合ってしまった。その薄桃色の瞳は相変わらず好奇心に輝いていて、俺はつい、故郷の話をしてしまったのだ。