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20230515「天使が隣で眠る夜」2 

なんで俺は、あいつの言うことを断れた試しがなかったのか。
なんで俺は、あいつが一人であの部屋に行くと聞いたとき止めてやれなかったのか。

ミッキーはあの日以来、病院のベッドでただ眠っている人形みたいになっちまった。
もう歌わないし、踊らない。無理な頼み事もしてこないし、金がないからおごってくれとも言ってこない。
でも死んだわけじゃなく、ただ眠っているわけでもない。

誰かが話しかけてやるべきなんだ、と医者は言った。
あいつの同僚たちは他の事件で忙しく、あいつを撃った男をまじめに探す気があるようにはとても見えない。

だから俺が、あいつの枕もとに通って話しかけてやらなきゃらない。
だから俺が、あいつを撃ったんだという若い男を探し出してやらなきゃならない。

面白い話なんかできないが、他に誰も見舞いに来ないから。
捜査のやり方なんて知るはずもないが、他に誰もあいつのことをまじめに考えやしないから。

なあミッキー、俺が犯人を見つけたら、お前は目を覚まして、「もういい加減ただ毎日新聞記事を読んで聞かせる、なんてマネはやめてくれよ!」とか言ってくれるだろう?
礼なんてなくていい。
俺はただ、何かというと踊りだすおまえを見て呆れて笑いたいだけなんだ。

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