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???③ 

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「えー?それマ?ほんとに警察がこっちに向かってるの?」
「ああ本当だよ。さっき警察から電話があったんだ」
「それもフェイクの可能性あるんじゃないの?」
「いいや、先ほど到着して麻袋太郎君のことも押さえ込んでいたからね」
「えっ……」

シャーロットがホテルに戻ると、鴉羽雨之助と一ノ瀬碧斗のそんな会話が聞こえてきた。
シャーロットはザっと血の気が引いた。
鴉羽雨之助はずっとシャーロットと共におり、今だって自分の後ろにいるはずなのに目の前で一ノ瀬碧斗と会話をしているのだ。
それに、麻袋太郎は押さえられてなどいないし警察が来た様子だってなかった。

振り返ると、自分と一緒にいたはずの雨之助はいなかった。

「なんなの、これ…?嘘よ。アメノスケは、こんな嘘をつく人じゃないもの…あなた、誰なの?」
そう言いながら碧斗と雨之助に近づいていたその時、青い顔をした亘貴と西園寺サラが現れた。

「みんな来てくれ……話があるんだ」
「私もなのよ!あのね、アメノスケが……」

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???② 

話を振られた雨之助は少し考え込んだ後、急に笑い出した。

「はは、戻ろうかシャロちゃん。出口があるなんて嘘だよ、驚いたかな?」

シャーロットは唖然とした。
誠実な雨之助が何故こんな嘘をつくのだろう。
いや、麻袋太郎の前だからだろうか?

なんにしても、今このまま帰ることはできないと分かり、シャーロットと雨之助はホテルへと引き返した。

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???① 

「アメノスケほんと!?ほんとに出口が見つかったの?」
「ああそうだよシャロちゃん、ついておいで」

シャーロット・ワトソンの目の前にいる鴉羽雨之助は出口を見つけたと言い、シャーロットの手を引き、歩き出す。
もうこんな悲しくて怖いことは続いてほしくないと考えていたシャーロットは、ようやく見えた希望に胸をなでおろした。
これまで犠牲になった者たちのことが頭をよぎり、胸が締め付けられる。

雨之助はシャーロットの手を引き、線路を歩き出す。
「ねえアメノスケ、ここを歩くの?前は何もなかったわ。それに、他のみんなも呼ぶべきだわ」
「………」
「アメノスケ?」

何かを考えこんでいるのだろうか?

「ワウワウ!」
雨之助の返事を待っていた時に現れたのは麻袋太郎だった。

「タロウ…私たちね、もう帰るのよ」
「帰る?そこを歩いたって帰れないワウ。早くみんなのとこに戻るワウ」
「え?だってアメノスケが出口を見つけたのよ。ねえアメノスケ?」

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本日、20:45より本編の追加更新を行わせていただきます。

それでは皆様、本日も診断を回していただきます。

SCENE6 ⑩ 

この犬は、敵ではなかったのだろうか?

SCENE6 END

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SCENE6 ⑨ 

[視点]西園寺サラ

「お会いしたかったですわ日廻さん!」

「随分様子が変わられていますわね…お話は聞いていましたわ。教えてくださいまし、いったい、貴女に何があったというのですか?」

サラがそう問いかけると日廻の顔をした"それ"はニコリと笑う。
サラの隣に座り、サラの顔を見つめたかと思うと、肩を掴んでジッと目を合わせてきた。
「日廻さん?答えてくださらないのですか?それに貴女は本当に、もう…」

「危ないワウ!サラちゃん!」
「きゃあああ!何をしますのこの犬!」

麻袋太郎はまたもや現れると、日廻の顔をしたそれの首に勢いよく嚙みついた。
痛みと恐怖によりそのまま逃げだした"それ"をサラと真琴が追おうとするが、隙間に入ったまま見えなくなってしまった。

「あいつらにはよく言い聞かせておくワウ!サラちゃん無事でよかったワウ!」
「何を言っていますの?」

あれは死んだはずの日廻夏八の顔をしていた。
しかし、人間では通れるはずのないドアの下の隙間からこの部屋に侵入してきたのだ。

言いたいことがあったはずだが、麻袋太郎が怪異から自分を助けようとしたという事実に気づき、サラは当惑した。

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SCENE6 ⑧ 

阿墨の顔をしたそれは、痛みによる唸りを上げた。

「ガルルルル!」

貴の前に飛び出し威嚇し、噛みついて攻撃したのは麻袋太郎であった。
強く唸りを上げると、阿墨の顔をした姦姦蛇螺は背を向け去っていった。

「全くしょうがない奴ワウ!……あ」

そう言ったかと思うと麻袋太郎はどこかへと走り去っていった。

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SCENE6 ⑥ 

阿墨亡くなったことを記憶していた貴には信じられない光景だった。
だが、その阿墨がこれまでとは違う姿であっても、今目の前にいる。
だがこんな姿の阿墨が安全であるとは到底考えにくい。

じりじりと近づいてくる"それ"に恐怖を覚え、気づけば後ずさりをしていた。

その時。

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SCENE6 ④ 

[視点]亘貴

「え、あの…阿墨さん?」

亘貴の目の前にいるそれは以前阿墨修二を無残な姿へと変えた怪異、姦姦蛇螺だった。
だが以前の姦姦蛇螺とは違い上半身の体は男のものであり、その上についている顔は----
阿墨修二だった。

だが、今まで生活を共にしていた阿墨とは様子が違うようだ。

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SCENE6 ② 

しかし、断定はできなかった。
外の情勢が大変なことになっているかもしれない。
あるいは、身内に不幸が訪れる者がここに集められた…いや、そんな未来のことは誰にもわからない。
だが、誰かが意図的に「ここにいる者の関係者を死に至らせているのだとしたら?」
様々な想像はできるものの、やはり断定できるものなどなかった。

ただ一つ、確定しているのは。
西園寺家を信じているということ。

そう決意する彼女には、先ほどから気になっていたことがあった。
今、サラは自室に一人でいるはずなのに何者かからの視線を感じている。
そのため何度か顔を上げるが、やはりだれもいない。

「気のせいなのでしょうか……あら?」

この部屋のドアの下に、何かが見える。
近づいてみるとそれは手だった。手はこちら側に侵入しようと這い出てくる。

ずるりと這い出てきたのは--。

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SCENE6 ① 

日廻夏八は気がおかしくなった末に。阿墨修二は自らが生きるために残忍な行動に走り、両者とも怪異により命を落とた。
更には花遊天親までもが自害をし、その場に居合わせた野々宮真琴と亘貴も心に傷を負っている。
他の者も気落ちしている者が増えていた。春夏冬レンの精神状態にも気を配った方が良いだろう。

「落ち込んでばかりはいられませんわ!皆さんで生きて帰らなければ……え?」

サラがなんとか手掛かりを探そうとスマートフォンで情報収集をしていると、信じられないものを目にした。
それは西園寺家が破滅したというニュース記事。
両親にも連絡がつかず、正しい状況を把握するすべがない。
そもそも両親は無事なのだろうか?春夏冬レンの両親や日廻の姉の件がサラの頭をよぎる。

だが、二人の件があったうえでのこのニュースはやはり信用できるものだとは思えなかった。ここに集められた者のうち、三名の身内がほぼ同時期に亡くなったり家庭が崩壊することなど、偶然にしてはできすぎている。
皆を追い詰めるためのフェイクニュースだと考えられる。

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???⑤ 

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昨夜未明、△△駅入り口にて花遊天親さん(28)が遺体となって発見されました。
遺体は左手と喉を激しく損傷していました。
警察は事件の可能性を追って捜査を進めています。
被害者は先月から行方不明となっていました。
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花遊天親 死亡END

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???④ 

まだ消えることができない。痛い。
痛い。早く終わってほしい。
痛い。
そんな思考をしながらも手は自身の喉を刺すのをやめない。
人一倍生存意欲の高かった花遊天親はそんなことを考える人間ではなかっただろうが、邪視という怪異による精神の支配からは逃げられなかった。

「なにしてんですか花遊さん!押さえよう亘さん!」

食堂に来た野々宮真琴と亘貴がそんな天親を見つけ必死に止めるが、彼の抵抗は強かった。
なんとか止めて助けたいのだが、二人がかりで押さえつけるのがやっとだった。
ヒューヒューと息を吐きながらもまだ自害しようとする天親を手当てすることもできず、人を呼ぶこともできず。
押さえつけ説得する中、花遊天親の体は冷たくなっていった。

「ワウワウ!手遅れになったワウ!」

アオーーン!

麻袋太郎が吼えると、真琴と貴の腕の中にいた花遊天親の遺体は消え去ってしまった。

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???② 

顔を上げた先にはあいつの、邪視の目が合った。
口角の上がった表情をしながらも、その眼は憎しみのような嫉妬のような。
負の感情が凝縮されたような、そんな目をしていた。
目を逸らして逃げなければならないというのに、目が逸らせなかった。
身体が言うことを聞かないような感覚だ。

もう、嫌だ。
何もかもが嫌だ。

花遊天親の思考はそんな感情で埋め尽くされ、今すぐこの世界から消えてしまいたくなっていた。

そんな時、夢を思い出した。
どうすれば、この世界から消えることができるのかを思い出したのだ。

そう思考した途端花遊天親は戸棚からアイスピックを取り出し、自身の喉に何度も何度も突き立てた。

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