『ミツバチと私』の内容についてネタバレあり
『ミツバチと私』を観てきた。
まだ自分をうまく言語化することもできない子供のフラストレーションや、男性的な名前や愛称の拒否や髪型、服選びなどに表出する"違和感"の様子、そしてぼんやりした希死念慮など観ていて懐かしさを覚える内容。
主人公の「死んで生まれ変わったら女の子になれる?」という質問に大叔母が返した「死ぬ必要はないわ。あなたはすでに女の子なんだから。」という言葉には救われる思いになる。
終盤、親族総出で行方不明になった主人公を探して森で名前を叫ぶシーン、男性名を叫んでいた兄と母親が彼女の求める名前で彼女を探し始める。親族たちが男性名を叫ぶ中、彼女の本当の名前を呼ぶ母親の声は彼女がおかれている状況そのものであるようだ。
フランス映画らしく、はっきりと描かれなかったり唐突に感じることも多い映画だけれど、大叔母との交流や森でのシーンだけでも観る価値のある映画だった。