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「今仕事中?」

そんな極めて簡潔なテキストで、タイムリミットサスペンスみたいな切迫した状況にいることを伝えてくるあいつは天才じゃないかと思う。仕事中だったが「いいよ」と返すや否や電話した。きっとテキスト打つ時間すら惜しいはずだろうから。これで僕も天才に列席できれば、と願う。

内容はというと、あるソフトウェアの使い方について今悪戦苦闘してる。そのやり方を知ってる? というものだった。
残念ながらOSが違うので直接説明はできない。だが、そのOSで実行できてる例なら確実に知ってる。つまり間違いなくできるよ、と応えると、「できるんだね? おけ、それで十分。さんきゅ」と返ってきてガチャリと消えた。いや、今時ガチャリとはならないけれども。
その間1分6秒。天才に無駄はない。

翌朝「できたー?」と呑気なテキストを投げると即座に「はいー」の三文字が。続けて、今いる状況を捕らえた写真が送られてきた。
なるほど。10時間後にはもう現場だったわけね。
前もって今回の案件の図面とか見せてもらってたからか、人の仕事なのに自分までもがドタバタしながらブルドーザーでがんがん整地していくかのような現場の緊張感を体感している。

とかなんとかどうでもいいけどこの仕事、客で金払って見る価値あるよなーでもできねえしって後悔しかないわ。

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