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南ロンドンにミルウォールFCっていう、サポーター全員がヤクザかチンピラみたいな奴らで構成されてるチームがある。フーリガンって言葉で真っ先に思い浮かぶクラブチームはどこ?と尋ねられたらイングランドの人間ならほぼここを答える。映画『キングスマン』でキングスマンにスカウトされる若者エグジーがどれだけだらしなく不良な日々を送っているかを表現したシーンで、彼の部屋の姿見にかけられていたマフラータオルがミルウォール。そんなチームだ。
最寄駅からスタジアムまでの歩道は全面フェンスで囲われている。アウェイチームのサポーターと揉めるからだ。チームを代表するチャントは、ロッドスチュワートの『セイリング』に乗せて歌う”No one likes us”。自分たちがどれだけ嫌われているかを誇りにしているサポーターたち。
で、だ。
そんなスタジアムに私が観戦に行った時のこと、私は話しかけられた。
「日本人か?よくきたな」とかそういう言葉を期待したが全くそんなことはなかった。「2003年のFAカップを当然お前は知っているよな」だった。
フットボールチームを自分の誇りの代理にしてようがなんだろうが、その人たちにはこれが人生なんだ。なけなしの金をはたいてシーズンチケットを買い週末にスタジアムに行くのがその人のライフ。最高だよ。