書道家の知り合いがいて、ある時彼女が個展を開くという報せをもらった。
「私が飲みたい人たちをいっぺんに集められたら個別にセッティングしなくていいから楽ぅ!が趣旨なんで展示はどうでもいいのよ。ご飯もお酒もこっちでたくさん用意しとくから平らげに来て!」
なんとも豪胆な誘い文句だ。かっこいい。私もこうありたい。
彼女と話すのは楽しいし、おまけに彼女の奢りで飲み食いできるとあれば断る理由はどこにもない。
なので委細構わずのこのこと出かけたわけだが、会場の雰囲気はとってもサロン感のあるものだった。
それはそうだろう。表向きにはあくまでも個展なのだ。彼女が僕に伝えてきた趣旨はどうやら裏コンセプトということか。
参加者には純粋に彼女の作品を観覧するために来た人もいるし、企業案件もよく受けている彼女なのでビジネスちっくな人もまあまあいた。きちっとした格好でワイングラス片手にフィンガーフードを摘みながら、一幅で僕の月給をはるかに超えるような書たちに囲まれて作家さんと談笑する会だったのだ。こちとらうっかりボサボサ頭にEYE HATE GODと描かれたTシャツ、そして雪駄である。やっちまった感しかない。
ま、それでも、彼女は僕を見つけるや長く立ち止まって話をしてくれて楽しい時間を持つことができた。(文字数。続くのか?笑