5月に吉原で起こった悲しい事件についての記事を読んだ。 

最終的に「今の吉原は中国人も入れる店が増えた、これはいかがなものか」みたいな雰囲気で締めくくられていて、コメント欄は「中国人が持ち込むせいで日本の梅毒が増えている」話(と、なぜそんな仕事を〜という定番のやつ)であふれていた。いつも通りのこと。だからいつも通り最悪の気分。

こういうときはたいてい、中国人の入国人数と梅毒の患者数の増加が比例している、というのが“根拠”としてあげられている。

2010年代の後半に梅毒が増えた理由を明確に答えることはできない。「○○のためである」と断言している専門家も見たことがない。
でも統計を見る限り、中国政府がゼロコロナ政策の一環として海外渡航を制限していたあいだに日本の梅毒は減っていたかというと全然そうではない。2020年こそ前年より少し減ったけれど(とはいえ2017年と同程度)、2021年と2022年では最多記録を更新している。
しかも「どちらかというと増加傾向」とかではなく、スコンと増える棒グラフ愛好家の方に大変おすすめです。
news.yahoo.co.jp/expert/articl

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外国人は出禁にしろ、日本の女性を守れ!と言う人もよくいる。 

でも梅毒をこんなに流行らせているのは主に日本の男性じゃないのか。彼らが検査と治療をする気があれば、はじめからこんなことにはなっていないはずなのだ。
梅毒を汚いもののようにみて嫌なコメントを書いていた人に「梅毒ってどうしたらうつるか、どうしたら防げるか」聞いてみたとして、まともに答えられる人がどれだけいるだろう。そしてそういうことを書く人も書かない人も、性風俗を利用する人もしない人も、おそらくはみんな、だいたい同じ程度に答えられないのだ。

この先わたしが仕事中に殺されたとしたら、こうしてヘイトにまみれたコメント欄と、病気について知る気のない人々によるえんがちょ談義が必ずついてくるだろう。ずっと前から知っていることだが、いつまでも許すことができない。
亡くなられたセックスワーカーたちがずっとそのような場所におかれっぱなしでいることが、たまらなく申し訳ないし悲しい。

鴬谷の事件から18日で5年経った。犯人にはたしか懲役16年の判決が出て、控訴した、というところまでしか知らない。その先はどうなったのだろう。

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