《一九八〇年代から続いてきた長野県の「ピンピンコロリ運動」は、ぴんぴん生きて、寝付くことなく、家族に面倒をかけずに、ころりと死ぬことを目指す、とされています。 高齢になっても健康で「迷惑をかけずに」生を終えたいという希望を否定するわけではありませんが、ともするとその希望は強迫的な「自立」志向、そしてそれと裏表にある、「自立」の減少や欠落への強い忌避感に繋がります。「自立」の無理な追求は、ひとつ間違えば、老いや病を拒絶し否認し、老いたり病んだりした人々の生きる場所を奪うことになり かねないのです。》清水晶子『フェミニズムってなんですか?』(文春新書、2022)
もう10年くらい前だろうか。鬱がひどく主治医に「生きていても役に立たないから迷惑をかけずに死にたい」と訴えたら、静かに叱られた。「あなたはあなたより重度の障害者についても”役に立たないから迷惑にならないよう死ぬべきだ”と考えますか」と。違う違う、そうじゃない。けれど……。
しばらくして、相模原障害者施設殺傷事件が起こった。犯人は名前を聞いて答えられなかった者を「役立たず」と見なし、殺傷した。
私も彼と同じ様に、自分を「生産性」で測ろうとしていた。
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