ジョン・ライクマンの編集したフーコーの『ザ・ジャパン・レクチャーズ』(ラウトレッジ、2024)に目を通すと、その末尾に収載された「日本のフーコー 蓮實重彦とのインタヴュー」の内容からは、『群像』最新号掲載の「日本語版」では相当に増補されている、ということが理解できる。英文では12の質問に蓮實が答えた体裁になっており、「日本語版」ではメールでの十個の質問に蓮實が返信していることになっていて、分量も大幅に長大な内容をみせる。同誌ではこの内容に「異同がある」とも注記されているが、当然にも両版の違いはたんなる「異同」の域をこえている。こうなるとオリジナルに相当する文面は何であるのか、一読しただけで判断することは難しい。こういうやり方が蓮實という批評家の、読者を困らせるところである。