インターネットと誹謗中傷というトピックで興味深い件が最近ありました
かなり文脈性が高くてややこしい話なのですが、筑波大学の落合陽一さんがゆる言語学ラジオの堀元さんにX上で抗議をしていました

togetter.com/li/2425468

コトの発端は元QuizKnockこうちゃんさんの離脱後のYouTubeを堀元さんが「つまんない」的な感じでいじるnoteを上げていたところから始まっています(僕はその記事の有料部分は読んでいません)

note.com/kenhori2/n/nc80fbabe4

堀元さん自体は僕はゆる言語学ラジオの人と認識してて、
今回のことでちょっと遡ってみたら、
以前Abemaで「自己啓発書を100冊読む企画」で記事を書いてたライターさんか…!と前から見たことあったのを思い出しました

ビジネス本のやつの企画自体は表面的には自己啓発書をリスペクトするていで、実はけっこういじって小馬鹿にするという内容
キングコング西野さんの本や、ひろゆきさんの本とかもそこに含まれてて、個人チャンネルのライブ配信でかなりけちょんけちょんに批評しててコメント欄も盛り上がってて面白かったです

youtube.com/watch?si=dG_Aqv3ps

本題と若干ズレますが、もう少し堀元さん個人について考えてみると、少し前に下記の呟きがバズってて、
..

x.com/bateaza/status/182685837

インターネットサブカルのここ5年くらいの主領域の中に食い込んでる立ち位置なのかなと感じます

僕は速水健朗さんがPodcastでゆる言語学ラジオについてちょっとだけ触れてることがあって、そこから入ったのですが、
こういったちょっと教養的+お笑いっぽいものという商売でそれぞれ隣接しながら漠然とひとまとまりになってる感はあります


QuizKnock(クイズ界隈)
バキ童(大学お笑い)
オモコロ(サブカルライター)
ゆる言語学(知識、評論系)


というような感じで大体分類できて、その上で堀元さん個人は評論系の中でも上記のアベプラのように、とりわけ「ネットビジネス」的な領域から出てきた面白い素人(しかもやや毒舌系)という立ち位置になるのだと思います

堀元さんは大学生時代からブロガー、クラウドファンディング、ネットイベント系の活動をしてて、その流れで村おこしビジネスを立ち上げて失敗しているようです
ただそれを文章で発信したところ、その失敗談がウケてバズって逆に作家としての地位が確立されたという稀有な例で、そしてその時の語り口が今の芸風に繋がっていると思います(元々素養はあったのでしょうが)
ken-horimoto.com/2018062022173

そして
その冷静な分析かつ自虐と毒舌が混ざった語り口で、
落合陽一さんがNewsPicksに出演していた時のコンテンツをブログでいじって、それもまたバズります
ken-horimoto.com/2018122811531

堀元さん自身はコンピュータ科学的ものは学んでて落合さんの専門領域はある程度認識できた上で、でも「何言ってるかわかんねぇw(喋り方が独特すぎて)」といういじり方をしていました

実際にNewsPicks側の目にも届いて抗議されるほどに拡散されたそうです

これら説明で今回の件の前提が整いました
そういう流れがあった上で、今回の元QuizKnockこうちゃんいじりのnoteに落合さんが「これは誹謗中傷だ」と反応したという経緯みたいです

フォロー

堀元さんのこうちゃんさんへの言及note自体は、そういう空気感を知っていれば「やや強めにいじってる」(上記のキンコン西野さんのビジネス本批評的な文脈)ぐらいの感じだと思うのですが、それがこうちゃんさんのファン層に届き、有料記事がスクショ拡散され、こうちゃんさん本人もそれに言及し、堀元さんを「誹謗中傷ビジネスライター」だと認識してた落合陽一さんにも目にする形になったという流れだと思います

なので、ある程度までは「こうちゃんVS堀元」という図式(ただこうちゃんさんは上記の引用くらいしか反応していない)そこに、ベテランちさんが外側から関わってた感じなのですが、

youtube.com/watch?si=cd4J_JvBj

そこにその空気感をちゃんとは理解してないであろう落合陽一さんが50万人フォロワーとアカデミック領域の識者たちを携えて「インターネットと誹謗中傷」の問題として言及し、なおかつ堀元さんだけじゃなくその周辺のこの件には無関係な人達まで巻き込んで発信したのでかなり賛否が巻き起こったという状態でした(しかも、その上で落合陽一さん独特の言い回しを使うので、より混乱と嘲笑を生んでいました 普段お互い関わらない層がバッティングした事でおこる連鎖相互差別?的な現象)

と、同時に反対側から考えて思うのは、個人的には落合さんの方も以前から定点的に見てはいて、彼が「誹謗中傷とネット社会」については常に問題意識がある事も知ってはいたので、こういう反応になるよなぁ…とも思います

今回のムーヴは単純に怒っているというわけでも微妙になくて、「どうすれば誹謗中傷的なものが発生しにくい構造を作れるのか」という研究者としての感覚もかなりあった上での実験的言及だとも感じます

落合さんは上記の動画で週刊文春編集者の方と番組で対談し「スキャンダル的なものとジャーナリズム的なもの」「国家などの完全なる権威側から独立したメディア意識」「市民感覚に従順になりすぎると個々人の露悪の助長になってしまう現象」などについて話してて、感心しながらも疑問を呈する議論をしていました

なので、そういったザックリとした「誹謗中傷」的なものをインターネットというツールを使用した時にそれが自然発生しかつ繁殖的に広がって常態化の温床になってしまう事を防ぐための、「構造」を考えててその上での今回のムーヴなのかなと個人的に思ったりしました

(今回それをシチュエーション的に発動させてみるのが正しかったかは分かりません)

youtube.com/watch?si=9j9IAzxlW

note.com/kenhori2/n/n314a26de7

結果どうなったかと言うと、
堀元さんがnoteで落合さんに謝罪して(ただ、不快にさせてしまった事を謝ってて、件のブログなどはあくまでコンテンツ批評であると主張、そしてこれ以上周囲の人を巻き込むなら法廷で会いましょうと言ってる)それに対してアッサリと落合さんが許す(というか、やはり上記のようなネットと誹謗中傷の構造に関しての問題意識として絶妙なサンプルなので実験的言及をしたのと、単純に落合さんはこういった風に感情が激しくなったりする時期が何回もある人ではあるので、そのタイミングだったのかも)という結末になりました

なので、とりあえずは一件落着(こうちゃんさんの方が片付いてるとは言えないけど)

youtube.com/watch?si=C-Bw6xoEW

あと、プラス要素として前述したベテランちさんがこの件について今なのずっと俯瞰的な距離感で全員をいじってて(しかもわかりやすい誹謗中傷的な毒舌芸じゃなく、逆に「こうちゃんは面白いやろ」「堀本さんに間に入ってエンタメにしてくれと言われたけど、"まだ早い"のでお断りします」などの丁寧なフリをしながらめちゃくちゃ小馬鹿にしてるというコントをやってる)

その中で落合さんにも言ってた「インターネットで顔出ししてる時点である程度はいじられるから仕方ないやろ」「というか、こうちゃんや落合陽一は高学歴で社会的地位も高いから、いじられてない(から裏街道的にいじられてる)」「もっといじられろ(じゃないと潜在的ヘイトが溜まる)」的な事を言ってて、

これはこれで真理だよなとも思いました
一般論としてのネットと誹謗中傷の問題というよりも、「出る側」「インテリ」「社会的強者」的な視点ではありますが、ただこのネット社会で誰しもがスマホで発信できる状況は一般大衆もこういう感覚はもはや内面化してるとも感じます

めちゃくちゃ長くなっちゃいましたが、
以上が「インターネットと誹謗中傷」の問題として、僕個人が関心のある「お笑い(エンタメ)との境目」がどこなのかという内容に該当すると思い勝手ながら自己解釈でまとめました

批評と誹謗中傷の違い、
過激な物言いをビジネスにする事、
講義の仕方として周囲を巻き込んでいいのか、
SNSの構造と心の問題

などなど、これらの話の事例としてとても参考になる件だと思います

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