光文社古典新訳文庫でバルザックのラブイユーズを読んでいる。めちゃめちゃ面白い。一癖ある善人や悪人たちがみな生き生きと描かれ、彼らの行動がかみ合って次々に事件が起こる。多彩な人間をリアルに描く才能と、波乱万丈の面白いお話を作る才能という、両立しがたい二つの才能を兼ね備えた作者でなければこういう書き方はできない。180年間生き残ってきた古典のポテンシャルはすごい。

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バルザックは若いころに読んだとき、ゴリオ爺さんは面白かったんだが従妹ベットとかはよくわからなかったのだよな。バルザックの小説は、この歳になると、あ~こういうやついる~と実感できる箇所が増えるので、また再読してみたい。現実の人間は時に、作者が頭の中でキャラクターを組み立てるだけでは絶対に思いつかないような、突拍子もない愚かさや醜さを発揮する。人間のそういうしょうもなさを物語に取り込むには、現実の人間をじかに観測するしかない。バルザックはそれをやっているので、たんなるよく出来たお話を超えた迫力がある。

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