賛否はかなりあったけれど、私は『進撃の巨人』は大虐殺を肯定した作品であるとは思っていなくて、「虐殺はダメだ!!これを肯定する理由があってたまるか!!」(諫山創『進撃の巨人』第32巻 p.10)、「最悪の過ち」(『進撃の巨人』第34巻 最終話※)と明言されていると認識している。
その上で「みんな知りたくなるはずだ」(同上)は無理がある……と思っています。さすがにそれは生存した2割の人間にとっては到底許容できない発言だと思う。パラディ島側にしたって「知らねーよ裏切り者共が」ではないだろうか。楽観的すぎる。
エレンちは「進撃の巨人」の能力による操作があったにせよ、奪われて、奪い返した場所であり、ミカサにとっては「帰りたい場所」であった。
過去エルディア帝国が行った植民地支配、マーレが継承した差別と植民地主義と武力侵攻、戦争とエレンが引き起こした大虐殺の「物語」を、現実では許さない、否定するというつもりで組み合わせています。
否定すると言っても、止められていない虐殺と根絶できていない植民地支配は存在しているわけだけれども……。
※コミックスにノンブルがなくて頁数が数えられない、申しわけない