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この週末、個人的スマッシュヒットだったのは、池波正太郎「闇の狩人」上下巻。
足を痛めた盗賊の弥平次は、湯治で訪れた山奥で倒れていた若い浪人を助ける。助けた浪人は崖から落ちた衝撃で記憶を失い、自分の名前すらも覚えておらず、弥平次は浪人に弥太郎と名付ける。時は経ち2年後の江戸、弥平次は盗賊の跡目争いに巻き込まれていた。そんな中、弥平次は行方がわからなくなっていた弥太郎と再会すると、更なる混沌とした争いに巻き込まれていく…。
盗賊の主人公をはじめとする登場人物たちによる巧妙な駆け引きがとても面白い。時代小説だが、みな架空の人物のため物語の着地点が全く想像できず、彼らの行先が知りたくてページをめくる手が止まらなかった。
何よりもぐっときたのは、弥平次と弥太郎の間で生まれたブラザーフッド的な友愛関係。何者かもわからない弥太郎を見返りを求めずに助ける弥平次の情、盗賊たちの争いの中で危険をおかしてまでも命がけで弥平次を守る弥太郎の情。年齢や立場を越えて築かれた二人の友好関係は、作品を読み終えた後、柔らかく優しい余韻を残してくれた。

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