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"(…)全体として、こうした暴力の描写は見知らぬ他人からの暴力や性犯罪がつねに身近にあると暗黙に語りかける。コメディアンのティグ・ノタロにはその効果を実に的確にとらえたネタがある。パブリックな場所で不安を覚えた女性がその度に「レイプされるのかしら?」と考えてしまう、という小咄だ。それが真実に触れていると知っている私たちは、笑いながらもその不安にどこかで共感している。私たちは実際に、「自分がレイプされる」という現象は確固として存在していて、どこか暗がりで待ち構えていると信じているところがある。それとは対照的に、家庭内暴力や顔見知りによる性犯罪、近親相姦、子どもの性的虐待その他の「プライベート」で、しかしさらに酷く蔓延している犯罪には、はるかに小さな関心しか払われていない。フェミニズムの見方でいえば、この関心のギャップは女性の恐怖心が家庭や家族ではなく外に向くように促し、核家族をはじめとする家父長制を強化し、一見安全と思える異性愛関係への依存度を高めることに貢献している。さらに悪循環なのは、これが「安全」なはずの家庭の空間で体験した暴力をスティグマ化し(恥ずべき不名誉なものと感じさせること)、さらに目に見えにくいものにしてしまうことだ。
(レスリー・カーン フェミニスト・シティ p.214〜215)

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