国立国語研究所「ことばの波止場13号」特集「危機」と「ルーツ」② : 日本語と琉球諸語のルーツをひもとく
より引用↓

ーー琉球方言ではなく、琉球諸語というのですね。

ペラール:琉球列島で話されていることばは、長い間、日本語の方言と見なされてきました。しかし日本語と通じないほど違うため、現在では日本語とは異なる言語とみなされています。また、琉球列島の中でも島や地域ごとに互いに通じないことばがあることから、まとめて「琉球諸語」と呼んでいます。
kotobaken.jp/digest/13-1/d-13-

(引用続き)

ーー日本語の歴史を知るために、なぜ琉球諸語の研究が必要なのでしょうか。

五十嵐:初めて宮古島を訪れたとき、食堂で隣に座ったおばあさん2人が話をしていたのですが、内容をまったく理解できませんでした。しかし、琉球諸語の話者に「これは何と言いますか」と1つずつ聞いていくと、意味と音の両方で日本語の単語と類似するものがたくさんあるのです。例えば、琉球諸語で「パ」「ペ」「ポ」で始まる単語は、日本語では「は」「へ」「ほ」で始まるというように、対応に規則性が見られます。アクセントにも規則的な対応があります。それらは比較言語学の教科書に書いてあるとおりの対応関係で、琉球諸語と日本語は同じ起源を持っている同系の言語であると判断できます。琉球諸語と日本語の共通祖先の言語を「日琉祖語」といいます。

ペラール:同じ系統の言語を比較することで、それらが分かれる以前の共通祖先の言語を推定できます。同系の言語がそれぞれパズルのピースを持っていて、それらを並べて共通祖先の言語の体系を再現していく、というイメージです。これを言語学では「再建」といいます。日本語の歴史を知るには日琉祖語がどういう言語であったかを再建することが不可欠で、それには琉球諸語を研究してパズルのピースを集める必要があるのです。

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(引用続き)

ことばが消滅の危機に瀕しているとは、どういう状態をいうのでしょうか。皆さんがそれぞれの地域で使っていることばは、次の項目に当てはまりますか?

・若い世代がそのことばを話していない。
・そのことばを話す場面が家庭の中だけなど限られている。
・そのことばで、またはそのことばの教育が行われていないか少ない。
・そのことばが新聞、テレビ、ラジオなどで使われていない。
・そのことばを話す人(話者)が地域の人口に対して少ない。
・話者自身がそのことばを使うのを恥ずかしく思っている。

当てはまる項目が多いほど、そのことばは消滅の危機の度合いが高いと考えられます。→

言葉を扱うメディアの人ほど真剣に考えなきゃいけないのにね。

kotobaken.jp/digest/13-1/d-13-

(引用続き)

ことばの消滅がもたらすこと
ことばには、コミュニケーションの道具としての役割があります。ことばは、地域の自然環境や歴史や文化を反映して形づくられてきました。思考や感情の基盤にもなっていて、自分が自分であること、つまりアイデンティティの不可欠な要素です。自分が属するコミュニティのことばによって自分を表現できて、ほかの人とコミュニケーションできることは、私たちにとってとても大切なのです。

ことばの消滅は、アイデンティティや文化、歴史の喪失につながります。祖先に当たることばの姿を知る手がかりも失われてしまいます。私たちは、普段話している耳慣れたことばとは違うことばに接すると、知的好奇心が刺激され、学ぶことで知識が蓄積されていきます。ことばの多様性が減ると、そうした機会も失われます。

(引用終わり)

国立国語研究所、勉強になったり、企画立てる時に参考になることも多いから時々見ているのだけど、この特集で中川裕がアイヌ文化について寄稿してるの見て、まぁ「国立」で「国語」だとこうなっちゃうのか…という感じ。

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