ちなみに今日読みに行った書籍はこちら。
「社会的分断を越境する 他者と出会いなおす想像力」
塩原 良和(編著) / 稲津 秀樹(編著)2017年
第3章 移民史と海事史を越境する――二十世紀初頭のアメリカ諸港における日本海員の「脱船」を事例として 栢木清吾
第7章 反税運動と移民排斥運動にみる福祉ショービニズム――デンマークにおける「租税同意」の歴史的経緯から考える 倉地真太郎
(目次引用)
これらの章が、こういう論考集では出てこない視点のもので良かったです。栢木先生の3章で「移民をするために下等船員になる者がいた」というのは初めて知って驚いた。移民史にはほぼ載らず、海事史では問題として扱われた「脱船移民」。休み中、また行って読み込んできます。
倉地先生の福祉国家のロールモデルと思われていたデンマークでなぜ極右政党が躍進し、移民排斥運動が高まるようになったかが「租税同意」という視点で書かれている論考も良かった。経済的な不平不満がその原因(政治)に向かず、より弱いものへ向かうことは日本とも重なる。そこを社会学や支援者の目線ではなく政治経済学者の視点で書かれていて(それはそれで必要ですが)、この角度必要!と思いました。
https://www.seikyusha.co.jp/bd/isbn/9784787234117/
しかし、2017年ってとても遠く感じてしまう。やはりコロナ禍以降で戦前戦中くらい年表に太字が引かれた感じ。
しかし、戦中は戦前をもって引き続くわけで突然立ち現れるものではない。コロナ禍でもコロナ禍以前の膿が吹き出たところはある。
私のその頃のざっくり年表では、
2017年 総選挙で野党惨敗
2018年 改正入管法成立
2019年 改正入管法施行、消費税増税
2020年 2月より世界的パンデミック突入
こんな感じ。先日、次回社会科の打ち合わせを蔡さんと行ったのですが、前回出ていただいた社会科が2020年1月で、今思えばまさに前夜だったね、とお話していて感慨深く。