ドイツで長期間暮らしている日本人の知人は結構な数であり、感覚では日本での知人の数と同じぐらいいるのだが、若くして亡くなる人が日本よりも多いのではないかと思う。
どのような形であれ、生命の危機にさらされると医師の処置を受けるわけであるが、その欧州における処置は日本人と欧州人の間にある物理的な違い、例えば頭の大きさとか体重とか骨格の違いによって、日本人の処置に最適化されていない。投薬にしても、風邪を引いた時に渡される薬は過剰量であることが多く、風邪ならば体力でカバーできるが、生きるか死ぬかギリギリのところではこの微妙な最適化の違いが決定打になるのではなかろうか。心理学的なカウンセリングにしても、日本語を母語としている人間が例えばドイツ語で果たしてその奥深くまでリーチがあるかと言えばおそらく無理、である。
海外に移住して暮らすことのリスクは犯罪等よりもこちらの方が大きいのではないか、としばしば思ったりする。フランスで日本の紹介者として有名な日本出身の方が49で亡くなったという話を見かけた。今どき、早逝である。それで、そんなことを思い出した。
この話で思い出したけれど、キャロライン・クリアド=ペレスという英国のジャーナリストが書いた『存在しない女たち』という本(翻訳は河出書房新社2020)の中に、性差医療に関連する内容があった。この社会が様々なところで男性を基準として作られていることを分析したこの本で、多くの薬が治験に女性の参加がないまま作られてきたとか、ある種のペースメーカーが男性基準で設計されていたため、多くの女性が命を落とした、というような話が書いてあって愕然とした……。
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309249834/
QT: https://toot.blue/@kmiura/113586761923263688 [参照]