『SNS 少女たちの10日間』感想
この手法しかなかったのか、というやるせなさがめっちゃある。でも子供たちや親だけの問題にするんじゃなくて、「加害者側が何を考えているのか」を追いたかったからこの方法を選んだんだな、というのもわかる。そしたら制作側の予想以上の、対話どころじゃないものが出てきてしまったのかな……と。
でも、合成写真の素材とか子供部屋のセット用の私物とか実際の子供時代の写真とかを提供して、二千人以上の魑魅魍魎どもの相手して、それでもそいつらをどうこうすることはできなくて、あとは情報提供を求めてきた警察に委ねるしかないって、ちょっと俳優さんの負担がでかすぎないか!?と思ってしまった。オーディション段階から子供時代に実際被害にあってきた人も多くて、なんだか架空の女の子を作っているというより、俳優さんの子供時代を引き出して使っているように感じてしまったというか……。ケアには気を使っているとのことだけど、ちょっとそれでもキャパを越えてしまっている気がする。
『SNS 少女たちの10日間』感想
ドキュメンタリーとしてどこまでならできるか、どれ以上はできないか、という歯がゆさは、俳優さんだけのものではないとも思う。特に、高圧的に接してきてポルノ送りつけてきたやつと、スタッフの知人で児童に接する仕事してるやつへの怒りはスタジオ内で高まっていたように見える。でもそいつら個人に対してできることはせいぜい呼び出して問いつめてやることしかないんだよな……。
最後に親御さんへの呼び掛けがあったけど、子供を育てている人じゃなくても、「ネットで児童を性的虐待するやつは最悪」と呼び掛けて空気を作っていくことが大事だと思った。あの子供に接する仕事してるやつが、「みんなやってる」「実際に手を出すやつなんか少ない」と言ったことに、「いやお前がやってることの時点で最悪だ」と突きつけていくために。でないと俳優さんやスタッフの人たちが報われない……。
『SNS 少女たちの10日間』感想
制作スタジオに笑顔があったことを指して「釣りを楽しんでる」みたいに言う人を見かけてええ~っとなっている……。あれは「ネタにして笑ってやらなきゃやってらんね~」という防衛的な反応だと思うけど……。
あとアメリカに「to catch a predator」という似た内容のリアリティーショーがあったらしく、それで加害者として現れた地位の高い男がその場で自殺した件を引き合いに出して、私刑だ、って言ってる意見も見てちょっとウーン……になっている。
それは確かに痛ましいことだと思うけど、画像検索した感じ顔出しだったっぽい『to catch ~』と、がっつり目出し帽みたいなモザイクが入ってる『SNS』は違うんじゃないか、とか。『SNS』で触れられたように、自死の選択肢がちらつかされてるのは脅迫などの被害を受けた側もそうだよな、とか……。